皆様こんにちは。
横浜ショールームのスタッフSです。
前回からお送りしております「モケイの週末」、後編の今回は塗装に入ります。
スケールモデルの殆どはグレーやグリーン一色で整形されており、ガンプラなどに代表されるキャラクターモデルのように細かく色分けがされているわけではありません。
そのためパッケージや実機を再現するには自分の手で色を塗る必要があるのですが、組み立てるだけでなく組み上がった立体のキャンパスに思い思いの色彩を施し、世界に一つだけ、アナタだけの作品に仕上げる―
それこそがスケールモデルの大きな魅力でもあるわけです。
さてせっかく一日かけて塗るんですからただベタっと塗るだけじゃ味気ない...と思った方はスケールモデルに魅入られつつありますね。
使用する塗料は御覧の通り、筆はタミヤのモデリングブラシHGⅡの平筆(中)一本で仕上げます。
パレットや塗料皿があると便利ですが、無い場合は牛乳パックの内側を洗って切り出したものでも十分代用できます。
前回同様ここでも白いプライマーを塗ってはいますが御覧の通り透明パーツやせっかく塗った内部にスプレーしないようマスキングをしなければならなくなるのでスプレーは使わない方が楽チンです。
まずは機体上面の迷彩を塗っていきます。
塗装見本と睨めっこしながら選択したタイプのカラーリングを再現するわけですが、この特徴的な濃緑と茶色の迷彩を綺麗に塗る為に各色を白と混ざながら少しずつ薄ーく塗り重ねていきます。(筆は縦一方行、上から下へ動かします。)
①ゴブリングリーン1滴とホワイト3滴を混ぜた色を水を軽く滴るくらいタップリと含ませた平筆でトントンと軽く撫でるように塗っていきます。
コツは一度塗ったところは乾くまで触らないこと!生乾きの部分に直ぐ筆を当てるとせっかく塗った塗料が剥がれてしまい、綺麗に塗れません。
ファレホは乾燥も早いのでこれだけ薄く塗ればあっという間に乾き、塗り重ねが出来ますが、塗りたての部分がムラになっているからとすぐ塗り重ねたりしないようにしましょう。(緑と茶をそれぞれ交互に塗っていくと片方の乾燥を待ちつつ塗装を進めていけますし、迷彩の塗り分けもしやすいです)
②茶色も同じく1滴にホワイトを3滴混ぜた色を薄ーく塗っていきます。
③ここまでをもう一度繰り返します。(筆ムラなんて気にせず行きましょう。)
④緑、茶それぞれ2滴に対して白3滴にしたものをこれまた薄ーく塗っていきます。
段々と鮮やかになってきましたが、これじゃ塗装見本と全然違う色ですね。
でも大丈夫、これはあくまで下地でここから少しずつパッケージのような色合いへと仕上げていく為の布石なのです。
では何故明るい色をわざわざ塗っているのかと言いますと、迷彩の境界線の絶妙なボケ足の表現と塗り分けをやりやすくするためなのです。
またこのように塗り重ねていくと最終的に出るムラも目立たなくなるので言わば一石三鳥なわけですね。
案ずるよりも生むがやすし、とにかくやってみるとその効果が分かるかと思います。
①さて続いては緑1滴に対して白3滴を混ぜた色に72.146 ヘヴィグリーンを1滴混ぜここでも薄ーく、ただし筆のストロークを長く、撫でるというより正に"塗る"ようにして色を乗せていきます。
(ここでもムラがあろうが塗りたてのところには手を付けないよう、そして必ず縦一方行、上からし手へ筆を動かして塗りましょう。くれぐれも筆を往復したり、横に十字になるように塗らないこと!)
そうすると少しづつパッケージの雰囲気に近づいてきました。
②茶色には同じ割合でUSオリーブドラブを混ぜた色を塗ります。
③ヘヴィグリーン1滴とUSオリーブドラブを1滴混ぜた色を今度は水分を軽く拭き取った筆で薄く1、2回、塗り重ねればムラのない美しいダークグリーンが生まれます。
④茶色はヘヴィグリーン1滴にUSオリーブドラブを4滴混ぜた色を塗り重ねます。
これでだいぶムラが目立たなくなりましたが、トドメに④で塗った茶色を軽く筆に取り出したもの(1滴くらい)にヘヴィオーカーを3滴から5滴、少しづつ混ぜてパッケージのような明るい茶色を作ります。
同じように水分を軽く拭き取った筆で2回ほど塗り重ねていけば完成です。
続いて裏側も塗っていきましょう。
①裏側はブラックをそのまま水をたっぷり含んだ筆で表面と同じように2回塗ります。
②3回目からは水を軽く拭き取った筆で表面と同じように塗り重ねていけばバッチリです。
③ホワイトはそのままでは発色しにくいのでほんの少し筆に取った黒を混ぜて明るいグレーを作り薄ーく2回、同じように3回目からは水分を拭き取った筆で塗ります。(ついでにライトグレーで塗る場所もこの色で塗ってしまいます)
④最後にホワイトを水分を軽く拭き取った筆でこれまで通り塗り重ねて完成。
筆を動かす方向を一方行にすることでムラの隙間からうっすら見える下の明るい色や筆跡が本物のような風格を演出してくれます。
さて、最高にカッコイイスピットファイアが塗りあがったわけですが、キットには水で転写するデカールと呼ばれるマーキングが付属しています。
ここから塗装見本で指定された国籍マークなどを貼り付けてさらにカッコよくしていきましょう。
デカールを貼る時は画像のマークセッター、ソフターに綿棒があるととても便利です。
①まず貼りたいデカールをカッターでざっくり切り出したら水をはった容器にドボンします。(暫くすると青い台紙に水が染み込んできますのでそこから1分ほど漬けたら水から上げます。)
②ピンセットでそっとデカールをなぞるとこのようにデカールがするっと動くので、そうなったら転写の準備はOK
③④貼り付けたい部分にマークセッターを大雑把に塗ったらそこに台紙から剥がしたデカールをそっと置きます。
ピンセットなどで位置を調整したら水を軽く含ませた綿棒をコロコロと転がすようにして内側に溜まった空気や水分を除きます。(このマークセッターはデカールをより強力にキットに貼り付けるための専用の糊です。)
デカールを置く時、もしズレてしまったなら水を含ませた筆でこのように表面に水分を与えてから綿棒などで少しずつズラして位置を修正しましょう。
続いてマークソフターをデカールの上にだけ塗りデカールを柔らかくします。(ソフターは塗料を溶かす性質があるので万一デカールからはみ出してしまったら速やかに綿棒でやさしく拭き取りましょう。)
30秒ほどしたら表面に残った余分なソフターを綿棒でやさしく拭き取ってから同じようにコロコロします。
(このマークソフターはデカールを柔らかくすることで凹凸などにも綺麗に密着させるための軟化剤です。)
1時間ほどで触っても問題ないくらいに乾燥するとキットの凹凸にピッタリとデカールが密着してくれます。
国籍マークなどの目立つものだけでも十分にカッコ良くなるので頑張って貼り付けていきましょう!そうしたら遂に完成です!
完成したスピットファイアは横浜ショールーム特選映画コーナー横、スケールモデル初心者コーナーにて展示しておりますので是非実物を見て制作の参考にして頂ければ幸いです。
皆様のご来店をお待ちしております!それでは皆様良い週末を~♪