去る2018年9月17日。
パシフィコ横浜で行われた「NieR Orchestra Concert」の合間を利用して、
多忙を極める「NieR:Automata」開発者4名に、ドルフィードリーム®(以下DD)化についてのインタビューを行った。
完成した2Bや9SのDDを見て「NieR:Automata」開発陣は何を語るのか、その様子をお届けしたい。
【 開発者紹介 】
齊藤陽介 : スクウェア・エニックス取締役。「NieR:Automata」プロデューサー。
ヨコオタロウ : 独特な世界観と作風で人気のゲームクリエイター。「NieR:Automata」ディレクター。
田浦貴久 : プラチナゲームズ所属のゲームデザイナー。
松平仁 : プラチナゲームズ所属のモデリングアーティスト。
――ボークス:ドール企画室のDD担当です。本日はよろしくおねがいします。
早速ですが、完成したサンプルをご覧頂いた率直な感想はいかがですか?
齊藤 : 本当にすごいものが出来たなと。これは確かに開発に時間かかるよね。 企画発表から結構時間が経っていたので、お客様の中には「企画が無くなったんじゃないか」という話も聞こえてきていたんですけど、これを見たら大変だったんだなって伝わるような出来になっているかと思います。 早く皆さんのお手元にお届けしたいですね。
ヨコオ :
ボクの個人的な感想なんですけども……。
ボークスさん、これ売れなかったらどうすんだろうなと(笑)
齊藤 : もし売れなかったら、ヨコオさんがリアカーで売るんでしょ?
ヨコオ : リアカーで手売り? 相当な台数を引かないとダメだなあ(笑)
――そうならない事を祈っております(笑)
ヨコオ :
でも「NieR:Automata」という作品のテーマとして“人形”というキーワードが元々あって、タイトル案の候補の中でも「ドール」という言葉が残っていたので、実際にドールになったものを見ると、すごく感慨深いものがあります。
あとやはり普通のフィギュアと違って、ゲームのモデリングそのものを造形すれば良いというわけでもなくて、ドールなりのアレンジというか変形が必要だったので、すごくその落としどころを皆さんで調整していただいて。
まあ主に松平さんとボークスさんとで調整して頂いたんですけれど、そのあたりはすごくいいものになっているなと思います。
――田浦さんはいかがでしょうか?
田浦 : ドールもそうなんですけど、この横にあるポッドも付いてくるんですよね? このサイズ感のポッドってすごいなと。
齊藤 : すごいよねー。
ヨコオ : 今までで一番でっかいポッドですかね?
田浦 : そうですね。そしてかなり出来がいいです。 ボク個人的には、ドールもいいけどポッドはもっといいなあと(笑)
ヨコオ : でも松平さんが言ってたけど、フィギュアとかコスプレもそうなんだけど、基本、本体はすごく頑張るんだけど、ポッドとかの付属物をいかに頑張っているかで本気度がわかる。
松平 : ホントにそうなんですよ。
ヨコオ : そういう意味ではこれはすごい本気度が高いなと。
田浦 : なのでこのポッドを見れば、ドールは見なくてもドールもきっとすごいんだろうなと思って頂けるかと(笑)
齊藤 : このポッドのクオリティが、全体のクオリティにも反映されているよね。
ヨコオ : ポッドだけバラ売りして欲しいくらい(笑)
齊藤 : クオリティといえば、9Sのカバンとかもヤバイよね。
ヨコオ : よく出来てますね。
田浦 : そこら辺を細部まで丁寧に作っているのがすごいなと。 それがうまく合わさってトータルのクオリティに繋がっているので、一安心しました。 ボークスさんに任せて良かったなと。
――ありがとうございます! それでは松平さんお願いします。
松平 :
パッと見た印象、やっぱりすごく大きくて。
なんというか、フィギュアでは表現しきれない「生きている感」というか、ちょっと生命を感じるような迫力があって。
家に迎えたら生活が変わりそうで……ちょっと怖いですよね(笑)
大きくて存在感もあるので。
ヨコオ : 具体的に言うと、大きくて邪魔だって事?(笑)
松平 : いやいやいや(笑) まあ沼にハマりそうな気分ですね。
齊藤 :
でも確かにドールって、男性にとっては元々ホビーの外にあるという人が多いと思う。
一生興味を持たないまま人生を過ごすかもしれなかった人が、NieRきっかけで興味を持ってもらえるかもしれないと考えると、良かったなと思いますね。
ヨコオ : 色んなNieRの商品の中でもDDが1番、監修量というか、お願いしたい事や、すり合わせ部分のボリュームがすごかったですね。 それだけボークスさんもプラチナさんもこだわって作ってくれたんで、いいものになっているなあと思います。
――監修では特に、2Bや9Sのモデリングを担当された松平さんにチェックしていただきましたが、こだわった部分や見ていただきたいポイントはありますか?
松平 : そうですね。 ボークスさんのドルフィードリーム®というシリーズの中では、この2人はすごく異例な感じだと思うんですけど。 顔の造形とかを、やっぱりちょっと原作の雰囲気に合わせてリアルめに寄せてもらったりとか、すごい無理なお願いをしていまして。 そういう造形や顔のメイクとかの部分で頑張ってもらったところとかは、特に見てもらいたいですね。 まあ、目は隠れてるんですけど(笑) お迎えした人はマスクを外した状態も楽しんで欲しいですね。
ヨコオ :
あとは今ちょうどそこにいる関谷さん(※)というボクと同じチームの仲間が監修に加わっているんですけれども、彼もドールがすごく好きでこだわりが強くて。
それと、声優の悠木碧さん(※)もそうなんですけれども。
まあ2人とも……要望を出す出す(笑)
(※)関谷さん:株式会社イルカのプロデューサー、関谷マコト氏。
(※)悠木碧さん:ドール好きでも知られる声優。「NieR:Automata」ではパスカルの声を担当。
齊藤 : 多分、最終的には全て悠木碧ちゃんの圧力だったんじゃないかと(笑)
ヨコオ : 普段の監修の際は、だいたい「こういう風に直してください」ってボクが修正をお願いするんですけど、DDに関しては、皆が言っているのをむしろ削っていくのがボクの仕事になっているという、本当に珍しいパターンでしたね。 元々ボークスさんのドルフィー®を好きな方が多くて……。 好き、というかちょっと怖かったですね(笑)こだわりが強すぎて(笑) なんかボークスさん、毎回大変そうだなって感じでした。
――そうですね。振り返ってみても決して楽では無かったと(笑) ただ、そのおかげで良いかたちになっているかと思っております。
――話は変わりまして、今回の2Bと9Sの他に今後DD化して欲しいキャラクターはいますか?
齊藤 : まあやっぱりそこはA2って言わなきゃ嘘だと思うけど、でもA2って服着てないじゃないですか。 結構いやらしくならないかなと気になっていて。どうなんですかね?
ヨコオ :
いや、やらしいのいいじゃないですか。
そういう、最近の流れに逆行している感じが。
あと今、こうやって気軽にボークスさん質問されましたけど、全然、人型じゃないキャラもDDで出してくれたりするんですか?
……パスカルとか(笑)「えっ、これ本当にDDなの!?」みたいな。
齊藤 : ドールというより、どちらかというとポッドよりだしね。
ヨコオ : いやでもこう、強引にDDのプロポーションにアレンジしていただいて。
――いっそパスカルを女体化とか(笑)
齊藤 : 女体化すんの?(笑)
――その時はまた悠木碧さんに監修して頂いて。
ヨコオ : そうですね。 まあでもやっぱりA2が出たら嬉しいですね。
齊藤 : A2通り越してイヴとか。
ヨコオ : イヴとか、ほぼ裸じゃん(笑) まあでもA2は2Bと9Sの2人が人気出てくれないとボークスさんが出してくれないので、いっぱい予約が入るといいなって思いますけどね。
――ちなみに皆さんは普段、フィギュア等の立体物は買われますか?
田浦 : フィギュアは買いますね。でもドールは買った事が無いですね。
ヨコオ : 普段ドールを買ってない人間からすると、正直、値段が一番ドキドキするよね。
松平 : そうなんですよね。
田浦 : 開発者としては、本当に買ってもらえるのかなという心配はありますよね。 それだけの出来にはなっていると思うんですけど。
ヨコオ : 今まで出たグッズとは、違う領域にいるなという気持ちはあります。 ドール系のものって。
齊藤 :
いや、すごいと思うよ。
まあNieRでは今までで一番やばかった「塩1万円(※)」って商品があったけどね(笑)
(※)「NieR:塩(非食用)とオルゴール」 販売価格 9,800円(税込)
「ニーア」シリーズに登場する<ある塩>をモチーフにした塩と、オルゴールのセット。
ヨコオ : あれも大概でしたけどね(笑) まあでも、価格は安くは無いけれど、その分クオリティが高くて良いものをNieRで出して頂けたのは感無量という感じです。なんか、遠い国の出来事みたいですね。
――ありがとうございます。
コンサート会場でも展示させて頂きましたが、NieRファンの方も喜んでいただいているみたいです。
田浦 : 会場の展示、写真撮るための列がすごい事になってましたね。
ヨコオ : あの様子を見ると、全部で3体くらいは売れるんじゃないですかね?
松平 : 3体だけですか(笑)
――ボークスとしては世界中のNieRファンの期待に応えられると思っています。
齊藤 : 言えないと思うんですけど何体くらい売れないといけないんですか? 余った分はヨコオ財閥が全部買い取りますよ。
ヨコオ : 財閥なんかないし(笑)
――それでは最後に皆さんから一言だけ、
NieRファンやドルフィー®ファンへ向けてメッセージをお願い出来ますでしょうか。
齊藤 : 「NieR:Automata」が本当にドール化に結びつくなんてね。 なんというか、言い方悪いですけど、ボークスさんバカな会社だなと(笑) まあでも本当にありがたいなと。これは心からの言葉でして。 悠木碧ちゃんも、ドルフィー®化が実現して喜んでいるんじゃないかな。 予約が始まった暁には、NieRファン全員が1人3体ずつ予約してもらう事を約束してもらえると嬉しいです(笑) ファンの方や開発に関わった皆さんのおかげでこの企画が実現したので、本当にありがとうございました。
ヨコオ : 実際はやっぱりお値段もするし、大人のホビーだと思うんですよね。ドールって。 でもたくさんいらっしゃるNieRファンの方に、皆さんが盛り上げてくださったNieRという作品がこういうかたちの波にも乗れているって様を、まずは楽しんで頂きたいなと。 写真とか展示とか、今後どこかで見れると思うので、そういうところで見ていただいて、こういうものがNieRで出たんだって噛み締めていただいて。 それで欲しいと思った人は、是非お買い上げいただけたら嬉しいなと思います。
田浦 : 自分が関わったゲームがこんな風にフィギュアになったりドールになったりすることってなかなか無いことなので、それだけでも嬉しいですし、こうやって現物を見ても改めてすごいなと思います。 気軽に買えるようなものではないかもしれませんが、開発者からみても良い出来になっていると言えますので、そこは安心して頂きたいなと思います。
松平 : 皆さんが言う通り、ドールって敷居が高い部分はあるかと思うんですけど、この2Bと9Sはそれを越えるだけの価値あるものになっているかと思います。 先程も言いましたけど、これを買ったら生活変わるというか、ドールと一緒の時間というものも付いてくると思いますんで、気に入った方は是非よろしくお願い致します。
――本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。